ヒトはなぜ物語が好きなのか

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物語と言えば、小説のみならず、ドラマや映画、アニメ、伝記などがありますね。
人々は子どもの時から物語をほしがっています。それは、子供にとって物語は人間関係を学ぶ手段であるからと言われています。

でも、我々は大人になっても物語が好きです。それは、子ども時代とは変わらず学習が目的なのでしょうか。
いやや、ドラマを見る私は別に勉強のためじゃ…
と、いいそうになりますね。
物語が好きな理由は、自分の狭い世界から足を踏み出したいからのではないでしょうか。人間は狭い部屋にずっと閉じ込めると息苦しくなるように、自分の人生だけに目を凝らすと、息詰まりそうになります。

そこで物語は、ふ~と私たちをはるか遠い世界へ、時代へ連れていきます。また、遠いところに行かなくても、主人公の身になって新しい人生を体験することもできます。

人は悲劇が好きな理由は、自分の人生の方ははまだマシだって、ホッとした感じが得られるからだと言われます。それなら、喜劇やハッピーエンディングが好きなのは、希望を与えられてほしいからのではないでしょうか。
また、他人の物語を読むことで、こんなに世界の広いんだと、自分の悩みの些細さに気づき、気持ちが落ち着くようになります

そして、人生で惑う時に、好きなヒーローや気に入る人物は、自分のカウンセラーにもなってくれます。彼らなら、このような場合はどうするか。こう考えることで行動の方向性が分かったり、励まされた気分になったりします。
有名な自己啓発作家のナポレオン・ヒルは、9名もの想像上のカウンセラーを持ち、彼らは自分が困難に出会う時に「相談」に乗ってくれるそうです。私も、留学で苦しいと感じる時に、いつま『風と共に去りぬ』のヒロインのスカーレットのことを思い浮かべ、再び前向きの気持ちになります。

小さい頃からはフィクションや伝記が大好きでした。小遣いで小説や漫画を本棚にずっしり埋めていました。自分の人生は平凡で面白くない。辛い。飽きている。そんな時こそ、物語を読みたくなります。
学習は元々の目的ではなかったが、いい物語を読むうちに、自然と人間関係への理解が深まります。
世の中には色々な人がいて、それぞれの生い立ちが違っていることが分かって初めて、周囲の人々の行動と、世の中の出来事理解できるようになります。そこで、同情する力、包容する力も育てられます。
 
また、良い物語であるかどうかは、ストーリーの面白さだけが物差しではありません。生き生きとした人物像の描写や、人の心理に対する興味深い観察があるかどうかも重要な要素になります。それらの要素から、作者が人間と社会に対する見解、観察の深さが反映されます。

このように、我々は好奇心のために物語を読んでいきますが、結局人間社会への学習になります。そのため、これからも良い物語、たくさん読んでいきたいものです。